機械材料の疑問

プラスチックとは何か?~歴史編~

suu

技術ブロガーのスーです

私の本業は大手製造メーカーの現役機械設計エンジニアです

本業では、CFRPやプラスチック材料を用いたスポーツ用品の設計・開発を行っています

当ブログは若手機械設計エンジニアである私が日々の設計業務で感じた疑問を勉強し、超絶噛み砕いて解説する技術ブログです!

視覚的にわかりやすく解説していきます!

本記事では、

「プラスチックの起源は?」

「最初に開発されたプラスチックって何なの?」

「プラスチック開発のきっかけは?」

「各プラスチックの年表が知りたい!

などの疑問にお答えします!

この記事からわかること
  • プラスチックの歴史
  • プラスチックの起源
  • 開発のきっかけ
  • 各プラスチックの年表

プラスチックの歴史って知っていますか?

普段何気なく使っている様々なプラスチック

いつ開発されたか知っていますか?

私は知りませんでした(笑)

本業でプラスチックを用いて製品開発をしている私にとって、「プラスチックの歴史は知っておくべきだろう!」

ということで勉強し、噛み砕いてわかりやすく歴史を紹介していこうと思います!

今回勉強に使用した書籍を紹介しておきます

イラストも多く、とっつきやすい本なのでプラスチックの事について知りたい方はぜひ読んでみて下さい

設計というよりは、

  • プラスチックの物性
  • プラスチックの使用用途
  • 成型法

などの本になります

プラスチックの起源は天然樹脂!

樹脂は天然樹脂合成樹脂に分けられます

合成樹脂開発のきっかけは、天然樹脂でした

「天然樹脂使えるな~、でも量も少ないし取り扱いも難しい…

人工的に作ってしまおう!」

として開発されたのが合成樹脂であり、現代の身近なプラスチックになります

では、天然樹脂にはどのようなものがあるのでしょうか?

有名な二つの天然樹脂を紹介します

漆(うるし)

今も使われている天然樹脂で有名なものの一つとして、“漆”があります

皆さんも漆で作られた”漆器”は一度は見たことありますよね?

漆は縄文時代から使用されているという非常に古い歴史を持っています

漆の調達方法ですが、漆の木から樹液を採取するという方法です

約10年間育った直径10cm程度の漆の木から採取された樹液の量は、1本あたり150gと非常に少量であり、貴重な樹液です

漆器は漆のみでできているものではなく、樹液中の水分を蒸発させたのち木の器に何度も塗り重ねられて作製されます

縄文時代の遺跡から出てきた漆器は、現代でも鮮やかな朱色を放っており、そのことから漆は非常に高品質であることがわかります

天然ゴム

天然ゴムはパラゴムの木から採取された樹液を固めたものです

発見されたのは1400年代後半ですが、1770年に初めて道具として使用されます

それが消しゴムです

今でも使用されている消しゴムは、元は天然ゴムから作られていたんですね

天然ゴムがさらに進化したのは、1839年です

それまで、ゴムの木の樹液に少量の酸を加えることで作製されていた天然ゴムは、弾性が低いという弱点がありました

その課題に対して、アメリカの商人であるグッドイヤーさんが硫黄を加えることで改善できることを発見し用途が広がったそうです

硫黄を加えることで、ゴムの耐熱性も向上しました

商人なのにゴムを更に進化させてしまうなんてすごいですよね

その後、19世紀中頃に天然ゴムが使用される工業製品のタイヤが誕生します

発明したのは、今でも大手タイヤメーカーで有名なダンロップです

この空気入りゴムタイヤが発明されて間もなく、需要が増え人工ゴムの開発が本格化しました

合成樹脂の始まり!人類初のプラスチック

次はいよいよ人類初の合成樹脂の発明について解説します!

セルロイド

合成樹脂開発のきっかけは何と、“ビリヤード”だったんですね

19世紀にアメリカで大流行したビリヤードの玉は象の牙を使用していました

しかし、想像してわかるように世の中の象の数は限られており、象牙は不足しました

「これではビリヤードが出来ない!」

と考えた印刷業者のジョン・ハイアットという人物が象牙に代わるセルロイドという熱可塑性樹脂を発明します

セルロイドは、ニトロセルロースに樟脳を混ぜることで作製されます

  • ニトロセルロース: セルロースを硝酸と硫酸で処理して得られる線状物質。燃やすと激しく燃焼し、火薬などに使用される
  • 樟脳: クスノキの葉や枝を水蒸気蒸留して得られる白色の結晶

セルロイドは完全な合成樹脂とは言えません

その理由は、天然素材であるセルロースを使用するため、半合成プラスチックと呼ばれています

フェノール樹脂

人類が初めて完全な人工的なプラスチックを作製したのは、1909年に開発されたフェノール樹脂です

フェノール樹脂は、熱硬化性樹脂であり現在でも使用されており、その最大の特徴は難燃性です

当時は、ベークランドという人物が開発されたのでベークライトという商品名でした

ベークライトは、石炭から得られるコールタールという物質とホルムアルデヒドという物資から作製されていましたが、現在のフェノール樹脂は石油から作製されています

フェノール樹脂が開発された1909年を皮切りに、プラスチックの開発が進歩していきます

よく聞くあのプラスチックはいつ開発された?

最後に主要な、プラスチックがいつ開発されたのかについて解説していきます!

上の表は各プラスチックの工業化開始年とその国をまとめています

プラスチック名の赤文字は熱可塑性樹脂、青文字は熱硬化性樹脂です

1870年にセルロイド、1909年にフェノール樹脂が開発された後、1939年にポリエチレンが開発されます

ポリエチレンは、世界で最も生産量の多いプラスチックです

レジ袋などのフィルム系、食品容器、ホース、文房具など使用用途は多岐にわたり正にプラスチックと言えば!みたいな合成樹脂です

1941年には、人類初のエンジニアリングプラスチックであるポリアミドが開発されます

ポリアミドは、耐熱性に優れ強度や耐衝撃性にも優れるため、自動車部品にも使用されるエンジニアリングプラスチックです

工業製品にも使用できるプラスチックなので、非常に大きな発明であると言えます

1943年に熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂が開発されます

エポキシ樹脂は、接着剤への使用やCFRPのマトリックス樹脂としても使用されます

熱硬化性樹脂の中では最も有名な樹脂ではないでしょうか?

1948年にペットボトルや、衣類にも使用されるPETが開発されます

ポリエチレンと同様、使用用途が多岐にわたり広く使用されている熱可塑性樹脂です

1973年にスーパーエンジニアリングプラスチックの中で最も有名なPPSが開発されます

非常に高い耐熱温度を有しています

ざっと解説してきましたが、表を見てわかる通り開発国はアメリカが最も多くプラスチック開発大国と言えます

また、第二次世界大戦~戦後に最も開発が進んだことがわかります

今回記事を書くにあたって勉強してみて私が感じたことは、プラスチック開発の歴史は意外と古いんだなあということです

そこからさらなる材料の進化や使用用途の拡大があって、今の私たちの快適な生活がある言う訳です

まとめ

  • プラスチックの起源は天然樹脂であり、代表的なものとして天然ゴムがある
  • 人類初の半合成プラスチックはセルロイド、合成プラスチックはフェノール樹脂である
  • 第二次世界大戦~戦後に最もプラスチックの開発が進んだ
  • 人類初のエンジニアリングプラスチックはポリアミドである
参考にした書籍
ABOUT ME
スー
スー
機械設計エンジニア(複合材料)
名前: スー(小学校時代からのあだ名)
年齢: 28歳
職業: 機械設計エンジニア
得意分野: CFRPを主とした複合材料によるものづくり
職歴: 5年
最終学歴: 九州大学大学院機械工学専攻卒
アイコン: ゴリラ(CANVAのAI画像生成で作成)
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